看取りケア委員会では、入所から退所までその人らしい生活支援ができるよう定期的に研修を実施しています。今回の研修会のテーマ選定にあたり、職員が日ごろ悩んでいる“食事の提供(摂取)”について取り上げました。
人は日常生活の中で死期に近づくと心身の状態変化に伴い食事量の変化がありますが、介助する職員の思いとしては「少しでも口から食べてもらって元気に過ごしてもらいたい」「でも、食べること自体が利用者にとって苦痛になっているのでは」という相反する思いでご利用者と向き合っていることが分かりました。
このような職員の悩みが解消され、安心してご利用者への支援ができることを目的に『状態変化時の利用者への食事提供』をテーマに研修会を開催しました。なお、ご利用者へのサービスにあたっては、各職種間の協働・連携が大切であり、特養ホームに勤務する全職種(生活相談員、ケアマネジャー、看護職員、介護職員、機能訓練指導員、管理栄養士)を対象に研修会を行いました。
実施日
平成30年9月19日(水) 16:15~18:00
会議室
参加者:32名
研修目的
状態変化に合わせた食事提供ができる
(状態変化時に食事介助する際の職員の悩みを少しでも解消できる)
研修内容
- 個人ワーク(示された事例からご利用者の生活歴や身体状態を読み解き対応策を考える)
- グループ内での意見交換
- グループ意見の発表
- まとめ
グループからの意見(一例)
〈事例のご利用者に対し、食事摂取の改善のために考えられること〉
- ご本人やご家族に好きなもの、食べたいものを聴き取る
- 食事が進まなくなってきたときには、ご利用者が好きなものを準備したり、提供時間や形態を変える等の工夫をチームで考え、支援してみる
- なぜ食べれなくなっているのか(嚥下能力の低下、身体機能の変化等)の原因を探ってみる
- サービス担当者会議を開催し、以後のケアの方向性を明確にする
看取りケア研修会のまとめ(抜粋)
- ご利用者の状態変化時、思いつきや決めつけでケアの方向性を決め支援しても課題解決はできない
ご利用者の心身の状態を各専門職の立場でアセスメントし、サービス担当者会議で情報を共有しあい、多職種連携でご利用者にあったケア方針を決定することが大切である - 医師を含むケアチームで改善の手立てがないと判断したときは「死期が近づいているから食べる意欲や量が減ってくる」という自然の経過や“無理に食べてもらおうとすることでご利用者の苦痛につながる”ということを理解し、ケアに活かすことが大切である
研修を終えて
研修参加者の感想(抜粋)
- 多職種間で利用者が食べられない原因を究明・評価し、食事を勧めていきたい。状態変化を見逃さないようにし、無理には勧めない。
- 多職種連携を意識した解答が多いと思った。たくさんいろいろな考えや提案があることが分かり、実行に移すことを意識することが大切だと思った。
- 看取りについての考え方や方向性を確認することが出来て良かった。
看取りケア委員会からの講評(抜粋)
- 研修修了後、体調変化のあるご利用者に対し、多職種で情報共有しあい取り組む様子がみられ、研修で学んだことが活かされてきている。
- 状態変化時に多職種が連携し、何が原因かを探り、万策尽きるまで手立てを考え、悩みが解消できるチームの土台を作ることができた。